石川佳純vs早田ひなのサウスポー頂上決戦!全日本卓球、前半の見どころ |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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石川佳純vs早田ひなのサウスポー頂上決戦!全日本卓球、前半の見どころ

石川佳純。正真正銘の女王復権なるか。

■注目の石川佳純VS早田ひな  

 18日の金曜日。この日は5回戦と6回戦が行われ、シングルスのベスト8が決まる。最高の注目カードは、6回戦で激突する石川佳純と早田ひなの一戦だ。

石川佳純は過去4度優勝。厳しいドローの中、全日本タイトル奪還なるか

 石川佳純は現在世界ランク3位。一時は国際試合で中国選手に勝てない時期もあったが、「つなぐバックハンド」から、攻撃的な「振り切るバックハンド」へ進化させてレベルアップ。ワールドツアーでも格の高いドイツオープンに優勝するなど、中国選手に勝つ試合や、きわどく追い詰める試合が増えた。
 全日本は過去4度優勝しているが、17年は決勝で平野美宇に、18年は準決勝で伊藤美誠に負けているだけに、是が非でもタイトルを取り戻したいところ。その最初の難関が、サウスポー同士の対決となる早田ひな戦だ。昨年の全日本でも両者は6回戦であたり、石川佳純が4-1で勝利している。

Tリーグで無敗の連勝を続ける早田ひな(写真左)。覚醒した大器が頂点をめざす

 早田ひなは世界ランクこそ43位に落ちてしまったが、これは昨年のワールドツアーで1回戦から中国選手とあたるドローが多く、その壁を突破できなかったため。

 しかし、苦い敗戦の積み重ねが、ひなを成鳥に変えた。昨年10月から始まったTリーグでは絶好調。海外のトップランカーを次々に撃破して、無敗の10連勝を続けている。石川佳純ともTリーグ特別ルールの1セットマッチで対戦して初勝利。ついに大器が覚醒の時を迎えた感がある。

 早田ひなの魅力は、スケールの大きなダイナミックな卓球だ。167センチの長身と身体能力を活かし、中陣に下がっても強い球を打てる。もともとパワフルなフォアドライヴやチキータを武器にすることで知られたが、最近は角度のあるバックドライヴも得点源になっており、新しい巻き込みサーヴの威力も増した。
 12月に取材した時は「石川さんに勝って優勝をめざしたい」と、はっきり優勝の二文字を口にしていた。石川超えを果たせば、もう頂点を狙える力は付いている。
 早田の、左腕を大きく引いて思いっきりスイングするパワードライヴを「ひなハンマー」、横に飛びついて手を伸ばして打つフォアハンドを「ひなウイング」と名付けたい。

 一方の石川も、Tリーグの1セットマッチの勝敗を参考にしないで欲しいと思っているだろうし、7セットマッチの中で戦術を変えながら、試合を組み立てていくうまさが石川佳純の強さの理由でもある。おそらく早田があまり得意でない台上の短いボールを多用してくるだろう。

 今年の全日本、石川は厳しいドローを引いた。6回戦は早田ひな、準々決勝は芝田沙季、準決勝は伊藤美誠、決勝は平野美宇(いずれも想定)。現在の若手トップ4を全員倒さないと優勝カップにたどり着けないという、ベジータとフリーザと魔人ブウに総当たりするような組み合わせだ。

 このミッションを完全クリアすれば、誰も文句をつけられない正真正銘の女王復権になる。  (後編につづく)

*展望記事の後編は、明日16日に更新します。
*全日本卓球、公式サイトhttp://www.japantabletennis.com/zennihon2019/
 LaboLiveのライブ配信(18日まで)http://live.jtta.or.jp/

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田端 到

たばた いたる

1962年生まれ。週刊誌記者を経てフリーのライターに。競馬、野球を中心に著書多数。趣味は五輪競技アスリートのSNSを観察すること。卓球は17年アジア選手権と18年グランドファイナルを現地観戦。


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